外資系金融機関の仕事

外資系金融機関の仕事

外資系金融機関の仕事

リーマン・ショック前までは、外資系金融は経済の花形業界であったように思う。
外資系企業のカルチャーは日本とどう違い、どんな風な仕事をしているのかが詳しく分かる本だ。
外資系金融機関は大きく3つに分けることができる。


  ・インベストメントバンク外資系証券/投資銀行
  ・アセットマネジメント(外資系投信/投資顧問)
  ・コマーシャルバンク外資系銀行)


インベストメントバンクはいわゆる株式・債券・為替・商品のような
金融派生商品(デリバティヴ)のセールスやトレーディングを
やっているわけだが、富裕層向けのプライベートバンクやアセットマネジメントがやっている投資信託
邦銀の従来のサービスと変わらない法人金融や個人金融などもある。


インベストメントバンクには二つの役割がある。クライアントカバレッジと言われる、
顧客企業のキャピタル状況を理解しつくした上で「資本の最適化」という観点で提案を行う役割だ。
投資銀行によってはこのグループをコーポレートファイナンスとも言うらしい。
もうひとつの役割はプロダクトスペシャリストと言われる、クライアントカバレッジのチームが
提案するプロダクトを作り出すチームだ。「資本コストの最小化」の観点から、証券化(セキュタイゼーション)
や債権、仕組み債、などを発行している。
ちなみに証券化について本書では
「バランスシートの資産サイドにある、売掛債権、リース債権、ローン債権、不動産など、企業の持ち物を使ってファイナンスをする手法」
と解説している。これらの流動性の低い資産を債権化して売却するのが資産担保証券(Asset-Backed Securities, ABS)だ。
ちなみに、サブプライムローンクレジット・デフォルト・スワップCDS)も、こうしたプロダクトの1つとして
生み出されたのだろうと思う。


さて、ここがインベストメントバンクヘッジファンドの違いなのだと思うのだが、
トレーダーとディーラーは厳密には違う。売買の取引仲介をする人をトレーダーと呼び、
自社の資金で売買して運用する人をディーラーと呼ぶ。しかし実際はディーラーのこともトレーダー
と称することが多いようだ。個人投資家デイトレーダーは誰の取引を仲介しているのだろう?


コラムに面白い話が一杯載っている。
「夏休みが終わって出社してみたら、隣の部門の人たちがダンボールに荷物を詰め込んでいたので驚きました。
何事かと思ったら、部門長が他社に引き抜かれることになり、当社としてはその部門ごとなくすことにしたらしいのです」
外資系は実力主義の世界なので、基本的には属人化・個人依存が強いのだろう。ある重要人物が抜かれると
もう誰も代わりができないので、部門ごとつぶしてしまうことが往々にしてあるという。
誰でもできるようなことをやっていたら、他社にも追いつかれてしまうということなのだろうか。


邦銀と外銀の差はどこにあるのかという章で、
面白い発言が引用されていた。
「こちらのニーズを見つけて、それに合う提案を用意するという点では、外資系は大したものです。
外資系はニーズを見つけてソリューションを持ってくる。たとえば『お金を返せといわれているでしょ。
どうするんですか?売掛債権を担保にしてお金を借りませんか?それとも売掛債権を流動化して、
資金調達しませんか?』と具体的な提案をしてくる。外資系では一人ひとりが儲けることが至上命題
であり、ビジネスチャンスをつくるために常に人より新しいことをやる。いま企業は何を求めているのかと
いうニーズを一生懸命探すわけです。邦銀で同じ指向をもっていても、否定されたら変わり者扱いされかねない」


あるいはこういう発言もある。
「邦銀の場合、会社同士の交渉になります。どちらかといえば個人の力量というよりも顧客企業に対する
会社としてのコミットメントが重要になります。ところが外資系との関係では、誰とビジネスするかが
重要となります。極論すれば、法律事務所や公認会計士との付き合い方と同じです。特定の個人と
さまざまなビジネスを積み重ねていくうちに、お互いの考え方が分かり、いい関係が築かれていくわけです」
ほかにも、モルガンスタンレーのAさんが、半年後にはゴールドマンサックスの名刺をもってきて、
さらに三ヵ月後にはまた別の名刺をもってくることだってあるらしい。彼らの多くは短期間に自分の成績を
あげることを考えていて、会社としての継続性がないんだ、とか。
外資系というのは、本当に日本人が考えるサラリーマン像からはかけ離れたスタイルを持っている。


外資系金融ではたらくということの隠れたリスクというコラムも面白い。
外資は成果を出せなければ解雇が当たり前というリスクがあるとは言われているが、
もっと大きな隠れたリスクは、日本経済の発展がなくなれば仕事がなくなるというリスクだという。
外資系企業の日本法人は、日本経済が儲かるあいだは仕事がある。
日本経済が傾いたら、もう日本法人をおいておく必要はなくなって撤退する。
外資系企業が日本から撤退するとき、日本法人の人材は、一体どこへいくのだろうか?