その66:サイコキネティック痴漢技術総合研究所


 事は利益がどうのこうのではなく国益なり世界平和の問題になってきているようだな、とスペッキヲはぼんやりと思った。
「引き続き、調査を進めてくれ、可能なら入館手続き時点で受付で登録されたこの免許証の情報も照会しろ」


 調査を続けていく中で厄介な問題が無数に出てきた。
 どうやらセンター内のログを追うだけでは事は追いきれない。TAKIGENの200番と呼ばれるラックキーを使っているラックは
キーが貸し出されてもいないのに開錠を繰り返していた。貸し出されているのは600番台だ。600番をさすことで200番は開錠可能らしいのだ。
驚くべきことに、分電盤の鍵の一部がTAKIGENの200番で施錠されている。


 ある種のラックキーを借り出すことで、低圧の分電盤はアクセス可能になってしまうという意味だ。それを知っているものだけが気づくことなのかもしれない。


 とにかく、借り出されたラックキーだけでは、本当にアクセスした先がラックなのか分電盤なのかすら判別できない。ここはやはり監視カメラの映像データと
IDカードのIDとの時刻の一致だけが頼りになる。しかし、監視カメラには死角になっている箇所がかなりあった。
確実に捉えられているのはゲートの入口と出口だけだ。そこだけは押さえられる。だが、サーバフロアの全エリアを映像でカバーしきれていない。
中で本当に起きたことは一部しか分からない。


「立てこもりに対応する前に、今サーバルームのどこかにいるはずの、戻ってきていないスタッフを探してください」
 とスペッキヲは答えた。彼が何を見たかが手掛かりになるかどうかは分からない。そもそも彼は生きているかどうかも分からない。


 その時、ヘッドクォーターからの映像通信に変化があった。
立てこもり犯が接触してきたようだった。
 ヘッドクォーターには防衛大臣も詰めていた。
 映像は目出し帽の男を映し出している。だが、本人が気づいているのかいないのか、音声が小さすぎてとぎれとぎれだ。
外部への電波遮断が効いている施設内からでは、通信が難しいのだろう。とりあえず男は名乗っていた。Punishmanと。
「Punishmanさん、要求はなんですか!」