その80:サイコキネティック痴漢技術総合研究所


 着地の瞬間、恐らく捻っておかしな方向に骨折したのかもしれなかった。脚に力をいれようとすると、本来あるはずのないところから痛みを感じる。
-- 動けない。
 目の前に覆いかぶさってくる黒く巨大で複雑に絡まったちぎれたケーブル類をまとうその巨大な鉄塊が今にも崩れてつぶされるのではないか......
と思った矢先、両脚が何かに押し広げられた。鉄塊の腰のあたりから生じた無数の手が怜の両足をつかんで押し広げているのだ。
そして鉄塊の股座から伸びた大蛇のような細長いペニスが、くねくねとくねりながら怜の股間に徐々に近づいてくる。
 だがどうすることもできない。屈辱感と恥ずかしさを感じ、怜は歯を食いしばって目を閉じた。
両脚はいよいよちぎれんばかりに押し広げられ、怜はほとんど逆さづりの状態になっている。何かの叫び声が聞こえた。
それを怜は、自分の叫び声だと思っていたが、聞きなれないまったく知らない他人の声のようにも思えた。
絶望は暗い世界へと怜を沈めていく。そこには空気がながれることなく沈殿し、ベクトルの狂った重力同士が互いをはねつけ合う。
--何かがパンティの辺りをなぞり、そして細かい歯を立ててその布面をチョキチョキと食いちぎろうとしている。
だが体にはもう力は残っていなかった。精神も深い諦念の中ですべてを達観したまま遠い世界の出来事のようにそれをただ眺めていた。
鋭い痛みとともに、無数の触手が傷口に食いつき、あふれ出る体液を貪るように吸い付いている。
不思議なことに、それは何にも感じない出来事であった。
まるで全身麻酔でもかけられたかのようになんの感覚もない。全身の中にたまった灰汁をすべてその獣に与えてしまえばいいだけなのではないか、
と怜は思ったほどだった。
 だがやがて、電気ドリルのような何かが、怜の局部に向かって肉を削りとばしながら侵入を開始した。
まるで幽体離脱のような感覚だった。
目を閉じ、何も感じていない。
だが怜には何もかもが見えている。
自分が巨大で邪な鉄塊に喰われていくその様が、すべて見えている。自分の体から少し離れた何もない空間からそれを見ている。