その115:サイコキネティック痴漢技術総合研究所


「ねえ、おいなりさんなかったよ。きなこドーナツになったけど、いい?」
「どれ? あっいいじゃん」
 ゆきが買い出しから戻ってみると、二人はゲームをしながら待っていた。3DSスマブラだった。
「ねえ、こいつムカつくほどうまいんだけど、なんなん?」
 小僧は殺気立った眼差しで3DSに没頭していた。彼にとって、それは恐らくただの遊びではないのかもしれない。
「ちょっと変わってよ、ゆき!」
「えっ、だって私このゲームしたことないよ?」
「いいから」


 きららはカチッと音を立ててメンソールのタバコのフィルターを噛み、火をつけた。
案外本気でムカついているのかもしれない。


 ゆきはそもそもゲームをほとんど遊んだことがないので、キャラクターを動かすだけでもビクビクしていたのだが、
小僧は容赦なく攻撃を仕掛けていた。
「......(下手すぎてつまんねー)」
「ナニ?」
「雑魚すぎ」
「ちょっと貸しなよゆき、今度こそ絶対ボコボコにしとくからな」
 きららはタバコを加えながらゆきから3DSを奪い取った。


 きららがゲームを夢中でプレイしている姿を見たことはない。
それほどうまいのかどうかは知らない。だが、今度は二人とも黙り込んで、黙々と戦いを始めた。
先ほどまでとは違い、二人のキャラクター執念じみた動きで殴り合っては離れ殴り合っては離れを繰り返している。