その116:サイコキネティック痴漢技術総合研究所


 チ、という舌打ちやらギリギリした歯ぎしり、バンバンテーブルをたたく音などを発しながら
きららは戦いに負け続けた。
 勝ち続けて小僧は退屈しはじめ、適当な攻撃しかしてこなくなっていく。


「君、このゲーム得意なんだね」とゆきが話しかけてみたが、返事はない。
 そんなの当たり前だということなのだろう。でもあるいは得意だ得意でない、というような一般的な評価に
興味がなかったのかもしれない。”へたくそなゆき”にそれを判断する資格を与えていないだけなのかもしれない。
彼は、彼が認めたもっと上の何かだけが、自分を評価できると考えていたのかもしれない。あるいは、その部分については
小僧らしく単になにも考えていなかったのかもしれない。


「あっ、きなこドーナツおいし」
 ゆきは二人を観察するのにも飽き始めてドーナツを食べてみた。


 それにしても、あたしのパンツについては、どうなったのだろう。
「ねえあたしのパンツ」
「洗濯機の中。いらないなら捨てる」


 小僧は来週も部屋にくることになった。
きららはそれまで技を磨くらしい。


 その小僧こと佐藤祥平は、二人がよく行くスーパーの店長の息子で、両親が共働きのため
学校から帰るといつも一人でゲームをしていたらしい。パンツを盗った理由については、よくわからなかった。
彼は図書室の机の下にあったエッチな落書きについて細切れの短い話を打ち明けたが、その意味はよくわからなかった。
 ただ単に、彼にとってはパンツが何か秘密を握っているように思われたのかもしれない。
「パンツはただの布だよ。うんこついてる。盗っちゃダメだからね」
 と、きららが言った。