鈴木傾城先生「グッドナイト・アイリーン」KDP読書感想文

 鈴木傾城先生の名前は、KDP作家界隈に限らないある種の界隈ではタブー視されているようだ。「ダークネス」「ブラックアジア」で計200万ビュー/月のサイトを主催している方だ。
2ちゃんねるの経済板にスレが立っていて叩かれているものの、東南アジアを主題にした鈴木傾城先生の作品はクーロン黒沢氏らの作品と同じ読者層に熱く支持を集めているのである。


 本作、グッドナイト・アイリーンの舞台は東南アジアではなく町田のちょんの間である。
夜の街のある種のリアルをそのまま物語った小説であり、そこにはフィクションっぽい歯の浮くような何かはない。
確かな臭いのある現実そのものが語られ、そしてその結末もまた、哀しいほど現実的なものである。日本中の、あるいは世界中の夜の街において
時代を問わずに繰り返されてきたある種の業(カルマ)のようなものがただ徹頭徹尾、端的な筆致によって表わされている。
 徹底して異邦人として描かれる彼女たちに、読者はほとんど共感を感じられないであろうが、にも関わらず、あるいはであるがこそ、そこに
ハッキリと克明な人間そのもの、ウィトゲンシュタインがいう「他者」そのものが文章の中で生命力を発揮し屹立する様を目の当たりにすることになる。