サイアクだ

 そうなるしかなかった。
 そうなる予感しかなかった。


 うまくいくためのすべてが足りなかった。おれには。
 分かっている。


 最初、失礼ながらおれは相手を内心甘く見ていた。ただ自分の保身のために、
自分ができることをしなかったがために、......と言われることを恐れて、慇懃無礼におせっかいを焼いた。
 しかし、それよりも本当は、その人が同性の仲間を上手く作って、そのおせっかいが早く必要なくなるようにと
自分が足かせにならないようにも気を使うべきだと思った。そして彼女がうまくいくことを望んでいたはずだった。
だけど、そうなればなるほど、自分は嫉妬心を抱き始める自分にも苦しんだ。
 理性は彼女が幸せになることを望んでいた。しかし同時に、置き去りにされて彼女だけが生き残ることになるであろうことを
嫉妬してもいた。


 いつのまにか彼女への感情に依存していたのだった。
 そしてそのことに気づいて自分はその思いを自分に禁じるように抑圧した。そうすればするほど
思いはますます激しくくすぶりだして、日がな一日そのことが頭を支配して離れなくなっていった。
 あの人を独占したい、独り占めしたい。ずっとこのままであってほしい。


 その思いは、自分もあの人も不幸にするだけの不幸な執着であろうことは、明らかだった。


 そしてそれはやがて終わろうとしている。自分が消えることで、すべてが解決されるのだった。
そしてそれは恐らく、自分を苦しめていたこの想いが自分から消え、自分も解決されることを意味するだろう。
 それは誰にとっても、最終的な帰結であるはずだ。そしてそれは初めからそうなることを予期された運命でもあったはずだ。


 自分が、何を考えて何を悩んでいたのか
 誰も知らぬままそれは終わる。
 自分が悩んでいたことさえも、一切悟られないほど、おれは完全に自分を自制しきったはずだから。
 自分の本当の想いを、まったく悟られぬまま、すべてが終わりに向かおうとしている。それでいい。そんな哀しみは尻のツッパリにもならないのだろうから。
今までもこれからも、おれはそうやって生きているのだから。