本当は求めていないものを求めている

 たぶん恋愛というのは、その人が幼いころの、両親との関係性にとても密接にかかわっている。
 異性と親しくなることを強く必要としている人は、恐らく両親とずいぶんと深くかかわって愛されて育ったに違いない。
自分がどうだったのか、それほど鮮明には思い出せない。
 ただ、私は両親とそんなに喋っていたとは思えない。ただ甘やかされてあらゆるものを与えてもらっていたようには思う。
そういう私が、例えば異性とレストランでおしゃべりすることを求めるのだとしたら、
それは自分の欲求ではなくて、何か社会的な刷り込みによって与えられた、自分のものではない欲求であるように思える。
そうであるがゆえに、そのまま社会的に与えられた欲求を、うまくイメージして実現するようなことは、自分にとってはうまくやれないことなのかもしれない。
もしそれができたとしたら、自分はちゃんとした人間になったということになるような気がし、
ちゃんとした人間になってみることも可能と言えば可能なんだな、と思いたい限りにおいてそれを試してみようと思えるだけなのかもしれない。
 そして最初に書いたことがその通りであるなら、自分が求めているのは、両親ではない異性に、ただ再び甘やかされるような関係だけなのかもしれない。