それはきっと

 子供の頃、例えば親子関係の中で、子供は子供として扱われて、子供らしくなっていく。
 でも我々はもしかすると、親子関係よりも大事なものが、何かあったのかもしれない。
それは、近所のお兄さんだったのか、あるいは自分と自分自身との間の関係だったのか。


 その二つの関係の中で、子供は子供であることよりも、すでに大人である自分という自意識を抱く。
子供でありながら、大人としてふるまおうとする自意識を抱く。
 愛される事よりも、一人前として認められる事を大事な事だと思うようになっていく。


 あるいはそれは、ひとりぼっちで誰も助けてくれない世界で、生きられる自覚を
はじめから持たなければいけないと覚悟したからなのだろうか。


 見回す周囲は、小学生になり、中学生になる。彼らは小学生として扱われて小学生になり、
中学生として扱われて中学生になり、やがては大人として扱われて大人になっていく。


 けれど、愛される事よりも、一人前として認められる事を大事な事だと思っていた我々は
周囲が変わっていくことが理解できなかった。小学生になっても中学生になっても、ずっと同じように
大人としてふるまおう、一人前として認められようと変わらぬ思いを抱き続け、


 不思議な事が起きていった。
 だれよりも大人びていたはずの彼や彼女らは、しかしあの大人びた子供のまま大人になり
周囲の仲間たちと異なって、年齢の割には純粋すぎる、どこか子供のような大人になっていった。