ダイバーシティとは何か

 昔、出版社でポータルサイトのエンジニアをしていた時、ぼくらの後ろの島はゲーム開発の部署だった。
 そこは賑やかな人達が多く、まるでラジオみたいにいろんな話題が遠くから聞こえてきたものだったが、記憶に残っている話題の一つが、アダルト作品を作って上場できた会社は一社もない、という話題だった。
 むかし、ソフトオンデマンド高橋がなりさんが上場について語っていたし、たとえばAVを作っていてもそれはそれでまっとうにビジネスをしていれば上場はできるんだろうなという印象を受けたものである。しかし現実は違った。例えばDMMなんかを見ても、未だに上場していない。それは、できるできないではなく社会のなにかがアダルト産業を表舞台から弾いているということなのではないかという気がする。
 私は当時、Kindleダイレクトパブリッシングを通じて、電子書籍のアダルトカテゴリーに、ほとんど何のアダルトさもないような作品を出していたものだが、考えてみると、実名でアダルト作品を出すなどということをやったことが、そもそも前代未聞のバカさで、それをなんとも思わずやってしまう神経の鈍感さがヤバかったのだろう。
 そういう感覚のズレに対する自覚のなさが、大勢に受け入れられない作品を産み出してしまう元凶なのかもしれない。そうしたことに気づかせてくれたのは、遠巻きに聞いたあのわけのわからんおっさんたちの単なる世間話であった。