和正かく語りき

和正、そういえばあいつは妙な男だった。

「仕事って色々あるけれど、男の職場は体育会系だよ。つまり、いきなりマラソンがはじまるんだ。女が現れるのか、ど偉い会長があらわれるのかはともかく、誰かがふっと現れてマラソンは始まる。歓声があがるんだ。すると誰かが、ペースを上げてムキになってしまう。本気で一番活躍している姿をアピールしようとする。すると、場が一変する。あんなやつにいい顔されてたまるかと、一生懸命にしらけるヤツもいれば、本気で追い抜きにいくやつも。とにかく修羅場になるんだ。女なのかど偉い会長なのかはともかく、少しでもいい格好を見せようと、みんなそれぞれなりにかっこつけようとしてね。ムリする誰かが倒れる。でも無理しても倒れないやつもいる。生き残るヤツがたった一人になるまで、チキンレースは終わらない。それが本質さ。問題は組織じゃない、本能にあるってわけだ」

 その時だった。竹藪の中から、ニワトリがでてきた。真っ赤なとさかの、立派な白いニワトリだった。ニワトリは、いきり立つ。そう彼らもまた、闘争本能によって走る、一羽のランナーなのだ。