ひどいやつかもしれない

 そうだおれはひどいやつだ。彼女はどのようなジャーナリストが伝えている貧困層よりもはるかに苦しい人生を歩んできた。派遣切りもワーキングプアもくそもないほどきつい世の中を生きていた。僕は彼女をほっておくことが、彼女に恥をかかせる世の中が憎くて、憎くて、そして彼女を守り愛せる人になろうとした。けれど、おれはひどいやつだ。そんな彼女のことすら、欲望の目で見ている事実を、ずっと自覚していなかった。