ケースワーカー氏からの電話を彼女はなぜ

 スピーカーモードでおれにも聞こえるようにして話していたのか。その理由はぜんぜん分からない。実際には八王子に転がり込んで居住実態がないことは分かっているからこのままなら取るべき手段をとるしかなくなる、とケースワーカーだとされる声が言っているのを聞かされたおれは、彼女を部屋に返すしかなかった。その直後にコロナが蔓延しだして緊急事態宣言が出たり、不要不急の外出の制限、県をまたいだ移動の自粛などが要請され、さいしょのうちは毎週末通っていたものの、だんだん会いに行けなくなった。会いに行くにも手ぶらでいくわけにはいかず、食事を二人分コンビニで買っていって彼女の負担にならないようにしていた。が、往復で2000円以上の有料道路利用料金とガソリン代もかかり、彼女を迎えに行ってこちらで一泊二日となると、昼、夜、朝、昼の二人分の食事代と2往復4000円の交通費+ガソリン代がかかるのだった。それは一月に4,5万ぐらいには登ったと思うし、それ以外にも心配で米と味噌汁の素とサバの缶詰を大量に購入して送っていた。自分が好きでやっていたんだと思うけれど、LINEや電話を急にブロックされて、連絡手段がないので手紙を書いて直接渡しにいったらストーカー扱いされ、次に来たら警察に通報すると言われたあと、冷静になって思うのは、あんなやつにはビタ一文使うべきじゃなかった、という後悔の念だけである。カネ目当てのブスにダマされていた。関われば関わるほど身も心もさいふの中身もズタボロになっていった。ババ抜きのババを引いたという感じだった。